【実体験】アメリカ国外に移住する場合のグリーンカード（永住権）について

グリーンカードを取得するのに、かなり時間も労力もお金も費やした人は多いと思います。

わたしのその内の一人で、グリーンカードの申請はもう二度とやりたくない！というくらいストレスを感じました。

当時は、アメリカに一生住むと思っていたものの、いろんな事情でアメリカを出て、海外に移住したり、長期滞在するということも100％起こらないとは言い切れませんよね。

わたしも実は、諸事情で日本に移住することが決まり、グリーンカードをどうするべきかとかなり悩み、地元のImmigration Officeに相談しに行ったので、そこで得た有益な情報をシェアしたいと思います。

永住権保持者はどれくらいの期間アメリカ国外に滞在できる？

米国移民法は「移民として米国に入国した人は米国に永住する」ということを前提とし、グリーンカード（永住権）を付与しています。

注意したいのは、アメリカ国外に１２ヵ月以上滞在した場合、永住権が失効してしまいます。

なので、移民局（USCIS）に何の届け出もないままアメリカを離れ、１２ヵ月経ってしまった場合は、また１から移民ビザを申請しなおさなければなりません。

ウェブサイトなどには１２ヵ月以上他国に滞在した場合は失効と書いてありますが、実際のところ、Immigrationのお姉さんが言うには、６ヵ月以上アメリカを離れていた場合、高い確率で入国の際にひっかかるみたいです。

なので、６ヵ月以上アメリカを離れる場合は、必ずRe-entry Permit、再入国許可証を申請してくださいとのことでした。

Re-entry Permit（再入国許可証）を申請する

１年以上２年未満アメリカを離れる場合は、再入国するの際に再入国許可証が必要となります。

再入国許可証の申請は、アメリカ国内でI-131（Application for Travel Document）というフォームを提出しなければなりません。

アメリカ国外からの申請はできませんので、必ずアメリカを発つ前に余裕を持って申請するようにしてください。

再入国許可証は２年間有効

再入国許可証は発行された日より２年間有効です。もし、Permanent Resident Card（グリーンカード）の有効期限が２年以内に切れるという場合は、再入国許可証の有効期限も自動的にグリーンカードの有効期限と同じ日になります。

なので、例えば、再入国許可証を申請したとしても、もしも自分のグリーンカードがあと１年で切れてしまう場合は再入国許可証の有効期限も１年のみということになります。

それでも申請料は同じ金額でちょっと損した気分になるので、待てるのであれば更新してからの方がいいかもしれないですね。

A Reentry Permit issued to a conditional permanent resident is valid for 2 years from the date of issuance, orto the date the conditional permanent resident must apply for removal of the conditions on his or her status,whichever date comes first.

再入国許可証を申請するのに$660かかる！

グリーンカード関連の申請ってあれもこれもお金がかかるんですよね。再入国許可証を申請するのにも＄６６０もかかります。高いですよね。

The filing fee for a Reentry Permit is $575. A biometrics services fee of $85 is required for applicants ages 14 through 79.

アメリカを発つ６０日前には申請すること

移民局のサイトでは再入国許可証はアメリカを発つ６０日前には申請するようにと書いてあります。出発の６０日以上前には手続きを済ませるようにしてください。

You should file your Form I-131 no fewer than 60 days before youintend to travel abroad.

再入国許可証なしで一年以上米国外に滞在した場合

もしも、再入国許可証を申請せずにアメリカ国外に１年以上滞在してしまった場合は、グリーンカード（永住権）を放棄したとみなされ、カードは失効してしまいます。

一応、裁判で失効するかどうか判決してもらうこともできるようですが、かなりの確率で失効するようです。

If you stay outside of theUnited States for 1 year or more and did not apply for a reentrypermit before you left, you may be considered to have abandonedyour permanent resident status.

再入国許可証は滞在先のアメリカ大使館で受け取れる

再入国許可証の申請フォームI-131をアメリカで提出した後、 アメリカでbiometrics (証明写真と指紋採取）が終われば、再入国許可証が届いていなくてもアメリカを発つことは可能です。

その際は、I-131のフォームに、USCISに再入国許可証を滞在先のアメリカ大使館やU.S. consulate、DHSオフィスに送ってほしいと記入すれば、再入国許可証が発行され次第、大使館やDHSで再入国許可証を受け取ることが可能です。

…you do not have to be in the United States for USCIS to approve your Form I-131 and issue a reentry permit to you if your biometrics (photo, fingerprints) have been obtained. …You can indicate on your Form I-131 that you want USCIS to send your reentry permit to a U.S. Embassy, consulate or a DHS office overseas, so you can pick it up from one of those facilities.」

I-131もBiometricsもアメリカ国内でやる

I-131の申請もBiometrics（証明写真と指紋採取）のアポイントメントも全てアメリカ国内で出発前に終わらせなければなりません。

Biometricsはとても大事で、写真や指紋を取る前にアメリカ国外に出てしまった場合は、アプリケーションがキャンセルされてしまうので、Biometricsが終わるまでは絶対にアメリカから出ないように要注意です！

When you file your Form I-131 to obtain a reentry permit, USCIS will notify you when to appear at a designated Application Support Center (ASC) to obtain your biometrics. If you leave the United States before you provide your biometrics, USCIS may deny your application.

再入国許可証は更新ができない

再入国許可証を取得して２年が経とうとしているが、引き続きアメリカ国外に滞在する場合、再入国許可証を更新して有効期限を延ばすことは原則できません。

その場合は、もう一度再入国許可証を申請しなければなりません。

上で説明したように、再入国許可証の申請はアメリカ国外ですることができません。なので、必ずアメリカ国内で申請し、Biometricsもアメリカ国内で受けなければなりません。

そうなると２年後にまたアメリカに帰ってきて、再入国許可証を申請中の約１ヵ月～３ヵ月はアメリカに滞在しなければならないということになります。

一番最初の２年は再入国許可証の申請が受理されやすいらしいのですが、再び２年の再入国許可証を申請する際はある程度の理由が必要みたいです。

そして、４年以降はこれまで２年に一度申請していたのが、１年に一度申請しなければなりません。

４年目以降は結構審査も厳しく下手をすると再入国許可証を発行してもらえずグリーンカードをはく奪されるということも起こりうるようです。

グリーンカード（永住権）というのは「アメリカに住む」ということが前提であって、アメリカに住まないのであれば、その居住を許可するカードは必要ないよねとみなされるようです。

再入国許可証を取得するためにやること

グリーンカードの申請と比べたらかなり簡単ですよ～！

１.　身分を証明できる下のいずれかのもの

• Form I-551（グリーンカード）の表裏両面のコピー
• Form I-551をまだ受け取っていない場合は、パスポートの個人情報が書かれたページのコピーと、永住権保持者であることが証明できるもののコピー
• グリーンカード更新中の場合は、Form I-797の写し

２.　Form-131

３.　申請手数料＄６６０

この３点（身分証明できるもの、I-131、申請手数料）を添えてUSCISに送付します。提出してしばらくしてからBiometricsの案内が届くので、指定された日にちと時間に指紋採取に行ってください。

提出先は以下のようになっています。

アメリカ市民権を取得する

アメリカ人になってしまうという方法もあります。その場合、日本は複数の国籍を持つことが法律で禁じられているので、日本国籍ははく奪されてしまいます。

一応自分で届け出を出さないと自動的に日本人でなくなるというわけではないのですが、二つまたはそれ以上の国籍を維持したまま日本のパスポートを更新する行為などは法律違反になってしまいます。

でも、驚いたのが、調べてみると結構多くの方が、アメリカ市民権を取得後日本に届け出を出さずにそのまま日本の国籍もキープしているという事実。

この社会が益々グローバル化していく現代で、複数の国籍を持てないという日本の考え方はあまりにも古すぎて、日本はこういうところから時代についていかないと本当に社会から取り残されてしまうと私は思います。

近い将来、日本人が複数の国籍を持てるようになっていればいいのですが。。。

いつから申請ができるのか

永住権を取得してから５年が経過していれば申請可能です。また、アメリカ市民と結婚し永住権を取得した場合は３年が経過していれば申請することができます。

期間満了の３ヵ月前から申請を開始することができます。なので、永住権を取得してから４年９ヵ月経っていれば申請開始することができます。アメリカ市民と結婚した方は、２年９ヵ月経っていれば申請開始できます。

１０年くらい永住権を保持していないと申請できないと思っていたので、思ったよりも早く申請することができるんですね。

市民権の申請に必要な条件

1. 18歳以上であること
2. 定められた期間永住権保持者であること
3. 市民権の申請をする直近の３ヵ月間はアメリカに滞在していること
4. 永住権保持者として過ごした期間で、１年のうち最低半年は実質的にアメリカ国内に滞在していたこと
5. 永住権保持者として過ごした期間、善良な居住者であったと証明できること
6. 帰化の申請に先立つ５年間、合法的な永住権保持者としてアメリカ国内に居住していたこと（米国市民と結婚して永住権を取った場合は３年間）
7. 英語を読み書きし、話し、理解する能力があること
8. 合衆国の歴史と政府について正しい知識があることを証明できること

市民権を申請するのに＄725かかる

そう、アメリカ人になるためにもまたまたお金がかかります。アプリケーション代で$640、Biometricsが$85かかります。75歳以上であれば$85は免除されます。

年々金額も上がっているので、きちんとUSCISの公式サイトで最新の金額を確認してお支払してくださいね。

ちなみに、定められた金額よりも少なくても多くても申請が却下されてしまうので、きちんとぴったり払うようにしてください。

市民権の申請に必要な書類

• Form N-400
• パスポート用のカラー写真２枚
• グリーンカードの表裏両面のコピー
• 婚姻関係を証明するもののコピー（Marriage certificate, divorce, annulment decree, or death certificate of former spouse）
• 申請費用$640

書類の提出先

提出方法は、オンラインか郵送の2つの選択肢があります。

（1）オンラインでForm N-400を提出する場合

アメリカ国外から申請する場合や、申請費考慮などに申請する場合、または軍隊経由で申請する場合はオンラインでの申請はできません。その場合、郵送での提出になります。

上記のどれにも当てはまらない場合、オンライン、file your Form N-400 onlineでアカウントを作成し、以下の項目全てオンラインで手続きすることができます。

• 申請費の支払い
• アプリケーションの進行状況をチェックする
• お知らせや更新を受け取る
• アプリケーションの完了予定日を確認できる
• 証拠のリクエストに返信することができる
• 連絡先情報や住所を変更できる

（2）郵送でForm N-400を提出する場合

現役または元軍隊のメンバーとして申請する場合、現役で配偶者が軍隊に所属している場合、近い親族で軍隊に所属している人がいる場合はこちらではなく（３）を参照ください。

その他の申請者の方は以下説明をご覧ください。

N-400を郵送で提出する場合、提出後、USCISより提出したアプリケーションの進行具合を確認するためのオンラインアカウントの作成方法が書かれた手紙が届きます。

オンラインアカウントを作成するもしないも、アプリケーションのプロセスは続行されますが、USCISは全ての申請者にオンラインアカウントを作成するよう推奨しています。

郵送先は以下のようになっています。

（3）現役または元軍隊のメンバーとして申請する場合、現役で配偶者が軍隊に所属している場合、近い親族で軍隊に所属している人がいる場合

以下の提出先に提出してください。

U.S. Postal Service (USPS)を使う場合:

          USCIS
          P.O. Box 4446
          Chicago, IL 60680-4446

FedEx, UPS, or DHL deliveriesを使う場合:

          USCIS
          Attn: Military N-400
          131 S. Dearborn, 3rd Floor
          Chicago, IL 60603-5517

グリーンカードを放棄（返却）する

最後に、グリーンカードを放棄するという方法です。こちらは念のため何人かの弁護士に問い合わせて聞いてみました。

まず、I-407というフォームを提出します。こちらは日本にある在日米国大使館で直接出向いて提出するか、韓国のオフィスに郵送で提出します。

現在、韓国のオフィスは閉鎖されたようです。

このフォームを提出せずにグリーンカードをただ単に放棄すればグリーンカードは自動的に失効すると勘違いしている方もいるようですが、I-407を提出せずに放棄した場合、アメリカに住む権利は無くなってしまいますが、アメリカに税金を納める義務は無くなりません。

なので、I-407を提出せずアメリカ国外に住んだ場合、国外で得た収入からアメリカに税金を払い続けなければなりません。

アメリカに入国することがあった際に、グリーンカードを放棄したつもりだったのに、I-407を提出していなかったために、税金を納めなければならないという厄介なことになってしまいます。

なので、グリーンカードを放棄する際は必ず、I-407を提出しましょう。アメリカを出国して滞在地に着いてすぐ手続きするようにしてください。

提出方法

永住権の放棄を希望する場合は、I-407フォームに必要書類を添えて東京にあるアメリカ大使館、那覇総領事館、大阪総領事館に直接出向いて提出するか、韓国にある米移民局（USCIS）インターナショナルフィールドオフィス下記宛先に郵送する方法があります。

注意：2019年7月1日より、USCISインターナショナルフィールドオフィスでは、郵送及び窓口でのI-407フォーム（Record of Abandonment of Lawful Permanent Resident Status）の受付を一切行いません。詳細はUSCISのウェブサイトをご覧下さい。https://www.uscis.gov/news/alerts/uscis-will-no-longer-accept-i-407-international-field-offices

米移民局（USCIS）インターナショナルフィールドオフィスに直接郵送で提出する場合は以下の住所宛てに送ります。

USCIS Eastern Forms Center
Attn: I-407 unit
124 Leroy Road
PO Box 567
Williston, VT 05495, U.S.A.

提出書類

• Form I-407
• グリーンカード（I-551）
• 再入国許可証など（該当する場合）

記入漏れや署名忘れのI-407フォームは、USCISにて放棄手続きがされないまま、郵送者に返却されます。ご注意ください。

また、グリーンカード放棄に関しては、申請料はかかりません。

最後に

今回はアメリカ国外に住む場合にグリーンカードをどうするかについて3つの選択肢をご紹介しました。

3つ目のグリーンカード放棄という選択肢は、よほどのことがない限りしたくはないとは思いますが、I-407さえ提出していればグリーンカードを再申請する場合に不利になったりすることはないとのことでした。

これを読んでいる方たちが、アメリカ国外に移住する際にグリーンカードをどうしようか迷っている時に自分の状況に合った選択をできたらいいなと思っています。